2024年04月10日

スッと腑に落ちた自己中心的利他という考え方

 ものづくりの会社で大切なもの、それは「人」と「設備」と「お客様」と思っています。一般的に3つの経営資源とは「人・物・金」と言われていますが、「人」と「設備(物)」と「お客様」が揃っていれば、お金は必ずついてきます。

 中でも「人」が一番大切なのは言うまでもなく、最近はどうやったら人がミヤジマグループに入ってきて、どうやったら定着するのかばかりを考えています。

 その答えが一言でいうと「イキイキした会社にすること」であり、イキイキした会社とは、つまりは「やりがいもあり、働き甲斐もある会社にする」ということと感じています。ただこれが実に難しい…。

 先日、その答えを求めて、京都にある建仁寺で開催された「どうすればイキイキした会社にできるのか」というお題のイベントに参加してきました。そのときに建仁寺の副住職がお話されていた「自己中心的利他」という考え方が、自分の中で無茶苦茶スッと腑に落ちました。

 「仏教には「利他」という自分を犠牲にして、他人のために尽くすという教えがありますが、「自己犠牲的利他」ではなく、「自己中心的利他」でなければならないと感じています。最近は特にその傾向が強いと思います。自分が幸せでなければ他人のために尽くすことはできません」というお話をされました。

 人間は実に様々で、立場や生き方、それまでの経験によって、考え方、価値観はまったく異なります。そんな様々な人たちとうまくやっていくには、心の偏差値を高めるしか方法はなく、心の偏差値は「自己犠牲に比例して高くなる」というのが、これまでの人生で培ってきた私なりの結論でした。

 しかしながら最近は「自己犠牲」という言葉が、自分もそうですが、他人にもしんどい言葉ではないか、と感じていました。

 「自己犠牲し過ぎて、自分が不幸になっていては元も子もない。だからといって利己に走るのもよくない。大事なのは、他人ばかりに時間を使うのではなく、自分の時間も大事にしつつ、他人のためにも時間を使うことではないか?」と感じていた私にとってこの「自己中心的利他」という言葉は、まさに目から鱗でした。

 「自己中心的利他」という言葉は一見すると、正反対の意味で、矛盾している言葉の組み合わせですが、とても大事なことと思います。イキイキした会社を作るために、これからも自己中心的利他を実践し、様々なことに努力し、心の偏差値を高めていきたいと思います。

東名鍛工(株) 代表取締役社長 宮嶋俊介